女の恋愛図鑑
一方的に言い放って、嫌いになってもらおう。
あたしの事素直に好きだという気持ちが、燻らないように。
文化祭が終わると、学校の様子は一変する。
劇の告知のためのポスターは剥され、準備のために中庭にいた沢山の生徒は姿を消す。
ただ遊びほうけていたはずの生徒は、休み時間であっても図書館に籠って、コサインやら幕末やら頭に入れるのに忙しい。
切り替えるのは、この学校では当たり前なのだ。
昨日までのお祭り気分が嘘のように消えてしまう。
大也は国立の大学を目指し、あたしより頭が良い。
切り替えと同時に離してあげるべきという事が明確だった。
「別れて、ほしい。」
「何で?理由は?」
「合わない。根本的に…」
「まだ1ヶ月しか経ってないのに合わないなんて分からないだろ?」
「期間は関係ないの。正直に思った。」
理由として、あまりにも稚拙で辻褄が合わない事は承知している。
「納得出来ない。」
こんなに酷いあたしを、簡単に諦めないでくれてありがと。
ちゃんと顔を見つめ合ったのは、すごく久しぶりな気がするね…
あたしが自分の気持ちに気付いて、素直に見つめる事が出来ないでいただけだけで、大也は見てくれてたろうけど。