女の恋愛図鑑
見ればますます、大也の顔立ちの良さにうっとりする。
染めてもいないのに自然と色素が薄い髪の色、それと同じ色をしたまつ毛の長い大きな瞳、鼻筋が通った高い鼻、少し薄い唇、尖った顎…完璧すぎる。
そんな男が、あたしを好きなんだ。一生ない、こんなこと。
なのにそんな完璧な人を振るあたしは、世界一の愚か者に違いない。
けど、きっとその方がいいと、あたしの心が言っている。
いっそ好きになれたら、あたしの幸せは約束されたに違いない。
けど、計算で全てを容認するには、若過ぎたんだろう。
あ、大也…
「泣かないで。」
男の子を泣かすとか最低だ、あたし。地獄に落ちる。
「あたしと付き合ってくれてありがとう。」
どんな短い時間でも、大也はあたしのために存在してくれてた気がする。
どうかこれで恋を恐れるようにならないで。
あなたは本当に素晴らしい人。
それから大也は、志望してた大学より2つもランクが高いエリート大学に入学する。
ほっとしたとしか、言い様がない。別れた事がショックで、勉強に支障が出たらどうしようかと、何度悪い夢を見たか…
逆に言えば、それをバネにしたなんてことはあるんだろうか…
どっちにしろ、終わった事だ。