女の恋愛図鑑

取り繕えば、本当の自分ではない、けど恋をする女は、そんな所をちっとも気にしない。
どんな形になっても、どんな色に変化してしまっても、その人を想う気持ちには嘘偽りない。
その人を手に入れたい!
そして女は一人ずつ恋に蝕まれる。痛いと分かっていても、辛いと感じても、恋は止められない。


バレンタイン当日、キャラメルチーズケーキを持ったあたしは、雄志が来るのを学校の近くの公園で待っていた。

喜ぶ顔が見れるかな??
もう19時をまわっていて、人気は無い。

雄志の部活が終わるのをただ待つ。


「ごめん!遅れて!」
「おつかれー!寒いね。」
雄志、こんな所にホクロあったんだ。
今までで一番近くにいるせいで、雄志と上手く会話が出来ない。緊張と、今まで気付かなかった所にまで目が行って、あたしは探査機みたいに、隅々まで雄志を凝視してしまう。
17歳にしては、体が男すぎる。いや、もう充分男なんだ。

キャラメルチーズケーキに興奮して、その場で食べ始めた。

雄志は嬉しさを表現するのが上手い。
「今日佐知にもらえなかったらゼロだったし!」
雄志といると、純粋な乙女に戻ることが出来るみたい。
洗いたての布団に包まれるような、そんな優しい気持ち。
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