純恋歌
「ごめん、遅くなったね」

「大丈夫ですよ、まあ遅くなるようなら寮に電話入れるんで」

門限があるがまだ間に合う時間なのでさほど焦ってはなく余裕はあった。

すると帰りの駅で女性が男達に絡まれてるのが目に入った。

「関わらない方がいいよ」

「はい、でも…」

明らかに普通じゃない男達5人に女性1人が囲まれて困ってるようだった。

周りの人達は気にしてるものの関わりを持たないようにしていた。

「すみません、これ持っててください」

「あ、ちょっと…」

先輩に手荷物を渡し男達に近づいた。

「姉ちゃん!何してんの?」

「は?お前誰?」

「お兄さん達うちの姉ちゃんに何か用なの?」

「え?弟なの?」

俺は女性を自分の姉として接する様に話しした。

「あ、うん」

女性も俺に乗ってくれた。

「へぇ…偶然出くわすんだ面白いね」

「よくここの駅利用するので」

疑ってるけど押し通すしかないと思った。

「まあ良いや、根性ある弟君の顔に免じるよ」

そう言って男達は女性に絡むのをやめてその場を離れた。

「ありがとうございます」

「いえいえ……あれ?ハンバーガー屋のお姉さん?」

軽音部御用達のお姉さんだった。

俺が解放された事から離れた場所に居た部長がやってきた。

「大丈夫だった?」

「部長、ハンバーガー屋のお姉さんですよ」

「ほんとだ!いつもお世話になってます」

そんな会話をしてたら

「何やってんの?久しぶりじゃん!元気してた?」

ヘラヘラしながらやってきた男性に肩を組まれた。

「前田?」

「はっはー!上島君久しぶり!会いたかったよ!」

顔を見ながら大きな声で言われた。

「俺は会いたくなかったわ」

前田の仲間と思われるさっき女性を囲んでた男5人達もぞろぞろと戻ってきた。

「何?そいつと知り合いなの?」

「うん!上島君よ!元、瀬戸中の!」

「ああ!そいつがサドルフルスイング男か!」

あっという間に逃げれないように囲まれた。
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