純恋歌
父の怒り
カーテンの隙間から射し込む日差しに熱さを感じ目が覚めた。

私は布団のそばに畳んでた自分の服に着替えた。

「おはようございます」

「おはよう」

台所にはすでにおばあさんが朝食の準備に取り掛かっていた。

「何か手伝える事はありますか?」

ストーブの上のやかんがカタカタ音を立てて蒸気を出してたので私はその蒸気に手をあてた。

「んー、そうねぇ。じゃあこたつの上を拭いてくれる?」

そう言ってキッチンクロスを渡された。

おじいさんはメガネを掛けこたつに入って新聞を眺めていた。

「おはようございます」

「おはよう、よく寝れたかい?」

「はいおかげさまで、ゆっくり寝れました」

テーブルの上を拭く私におじいさんは

「おっと、ごめんよ、ありがとうね」

そう言いながらテーブルの上の物をどかしてくれた。

「あ、えーっと、たく君?あのお孫さんは?」

「外におるよ。行ってごらん」

私は上着を羽織りガラガラと玄関を開け外に出た。

「わぁ!雪!」

運動靴を履いてた私は一歩その世界へ足を踏み入れると靴の中に雪が入ってしまうぐらい雪が積もっていた。

「おはよ」

「おはよう、雪凄いね!」

男の子は雪だるまを作っていたようで白い息を吐きながらも汗をかいてた。

雪は積もっていたが外は快晴。

陽射しが雪に反射し沢山の輝きを放ち寒いはずなのに熱くさえ感じてしまうような感覚だった。

「えい!」

男の子は突然手に持っていた雪玉を私に投げてきた

「ちょっ!」

ボフッ

男の子の投げてきた雪玉が私の顔に当たった。

「……」

無言の私。

私は悩んでいた。

どう返すのかを。

(もう!やったなこのぉ!あははー、うふふー)

キャピキャピ可愛く返すべきか

それとも

「うぉら!ざけんなこらぁ!」

本気でやり返すか。

「ご、ごめんなさいっ!」

男の子はいつの間にか雪玉数発食らっていた。

恩人に牙を剥いてしまった。
< 142 / 231 >

この作品をシェア

pagetop