純恋歌
それから訪れたクリスマスに誕生日プレゼントと合わせて指輪をもらった。

ペアリングだ。

念願のペアリングだ!

これをはめてると彼氏彼女の証のペアリングだ!

私は嬉しすぎて手を見てはずっとニヤニヤしてた。

彼氏と居る時も嬉しくて眺めていた。

空に手を伸ばして光にリングを照らした。

(あれ影が…)

すると拓郎が私の顔の前に見えたと思ったら初めて私にキスが届いた。

初めて拓郎から届いたキスは熱く甘くはとろけた。

「ねぇ…もう一回」

「恥ずかしいからダメ」

それからもそのキスを思い出しては一人でしょっちゅう鼻下を伸ばしていた。

「うへへへへへふひひひひうひょひょひょひょ」

「姉ちゃん大丈夫?」

弟にガッツリ見られた。

拓郎とは変わらず良好な仲を築いていたが、弟とはより一歩引いた関係になった。

年が明け次々とみんなの進路が決まっていった。

「亜依子私受かったよ」

「え!凄いおめでとう!」

将来アナウンサーを目指す明菜から東京の難関大学に合格した報告が舞い込んできた。

「広川高校の卒業式と私が通ってる女子校の卒業式の日違うから広川高校に行くわ」

「何しに?私に会いに?」

「上島君に会いに」

「やめな」

「彼は今彼女居ない事リサーチ済みだから止めないで。3年前のリベンジするから」

「明菜?」

「心配しないで、それまでにバッチリ仕上げてくるから」

「あきなー!」

ブチっ…プー…プー…プー

そう言って明菜は電話を切った。

私は不安で不安で仕方なかった。

卒業式クラスの男子達は上島君を筆頭にギャンギャン泣いて居るが私は全く涙が出て来なかった。

だって拓郎と会えなくなるわけじゃないし。

幸せだし。

卒業式私達6人は大人になってもまた会おうと約束した。

拓郎と校門の外に出ると花束を持った明菜の姿があった。

「嘘でしょ!可愛っっっっ!」

高校3年間、勉強にステータスを全振りしてた明菜はそこには居なく、居るのは花束を持った100年に1人の美少女だった。
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