純恋歌
ふと、利伸君と目が合ったので一応ぺこりと頭を下げるとニコリと笑顔でつかつかと近づいてきた。

顔が引き攣り警戒する私。

「この前はごめんね、酒飲み過ぎてしまったからつい」

「え、あ、はぁ」

『つい』じゃねぇよとは思ったが謝ってきたので思わず普通に返した。

「今日はお互い頑張ろうね、またね」

そう言って利伸君は去って行った。

(え?酒のせいにしてこの件終わり?)

後日、元祖ろくでなし男の弟にアフリカろくでなし男の言動についてその深層心理を聞いてみた。

酔った勢いでキスしてきて、その後抱こうとしたけどダメでキレて、後日謝ってきた腐ったチャラ男が何考えてるのかチャラ弟に。

「あー、ワンチャンまだ狙ってんじゃね」

「そうなの?」

「勢いでキスは出来たわけだけど、結局やれなくてムカついてその場を後にしたけど冷静になったらもったいないなって思ったんじゃない」

(やれなくてとか姉に向かってよく言えるな)

そう思いつつも確かになるほどなと感心してるとアフリカ民族編み込み野郎(利伸)からメールが届いた

【この前のお詫びに今度ご飯奢らせてください】

メールを見て納得した。

こいつは今まで出会った人の中で最上級のチャラ男だ。

キングカスだ。

「つまりは私の事を好きってことかな?」

「好きって言われたの?愛してるとか言われたの?」

私は利伸君に言われた事を思い出してみた。

『俺さ、会った時から亜依子ちゃんの事を良いなって思ってて、でも拓郎君の彼女だから我慢しなくちゃって思ってたんだけど』

「いや、好きじゃなくて良い‥だね」

「好きって言わない時点で彼女にしようとかそんな感情は最初からないからね。ワンチャン狙ってるってさっき言ったじゃん。ワンナイトよ」

流石チャラ男はチャラ男の事がよくわかってる。

「つか、姉ちゃん一途だと思ってたから意外だったわ」

強烈なロンギヌスの槍がぶっ刺さった。
< 209 / 231 >

この作品をシェア

pagetop