純恋歌
まさしく痛恨の一撃。

姉は瀕死になった。

「なんで連絡先交換したの?」

「彼氏のバンドメンバーだから」

「なんで会ったの?」

「二人だと思わなかったから」

「なんで二人でご飯行ったの?」

「特に断る理由もなかったし用事もなかったから」

「隙を見せすぎなんだよ。男はその隙を狙ってくるから」

もうやめて!あなたの姉の体力は残ってないわ!ゼロよゼロ!

「あの、その、この事は拓郎には…」

「チャラい姉ならやめとけって拓郎君に言うかもしれないけど、反省して後悔してんだろ?言った所で俺にも姉ちゃんにも拓郎君にもデメリットしかないから言わないよ」

弟の優しさに感動しつつも

(弟は彼女を大切にしてるのかい?)

凄いモヤモヤした。

「ところでその日のライブはどうだったの?」

結果から言うとその日のライブはぼろぼろだった。

演奏も途中で止まってやり直ししたりもあった。

とてもじゃないけど恥かいた。

「スリーアローズってこんなバンドだったっけ?」

チラシで出演するバンド名を見て来た人も居たようで、かなりガッカリさせてしまった。

そして利伸君は言うだけあって上手かった。

下手だったら笑ってやろうと思ってただけに余計にクソムカついた。

利伸君のバンドの女性ボーカルの人も可愛いく、その人の特徴を全面に出した曲調もマッチングしていた。
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