SPY
銃を素早く構え、物陰に移動しながら次々と発砲していく。ライの目には空中に飛び散る赤い色が見えた。

ライが物陰に移動すると、組織の人間は銃を発砲しながら近付いてくる。ライとシリウスは一人だが、組織の人間は数え切れないほどで、抵抗できることは限られている。そう相手は思っていたのだろう。

「銃を捨てて手を上げろ!」

組織の人間が言い、ライは「は〜い、降参しま〜す」とふざけながら返事をし、手榴弾のピンを抜いて放り投げる。数秒後、ドカンと大きな音が響いた。

「おい、シリウス。リヴァイはどこに閉じ込められてるんだ?」

「このまま真っ直ぐ行った先の監禁部屋だよ。ていうか、ライ!前方に十人以上敵が……」

「安心しろよ、あれくらい一分もしないうちに制圧できるからよ」

「……なるべく殺さないでよ」

組織の人間がライに向かって一斉に走り出し、寄ってたかって殴ろうとする。その拳をライは避け、首に手刀を打ち込んで気絶させた男を振り回して攻撃したり、足で顎を蹴り上げたりと、暴れ回る。その様子はまるで暴走した猛獣のようで、誰も止めることはできない。
< 14 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop