学校1人気の先輩は私だけを溺愛する。
家に帰って、玄関のドアを開けるとお母さんの声が聞こえてきた。

「ちょっと、美里! なんなの⁉︎ この結果は⁉︎」

“美里”……?

お母さんはいつも“美里ちゃん”って呼んでるのに……。

「この結果だとダメなの?」

「ダメに決まってるでしょ⁉︎」

お姉ちゃんの反抗するような言葉に目を見開く。

「ど、どうしたの……?」

口出しをするのは良くないと思ったけど、口出しせずにはいられなかった。

「あ、愛奈……このババアがうるさいのよ」

お母さんを指差しながら言うお姉ちゃん。

ババアって……。

「ババアって何よ⁉︎ 美里!」

「あーうるさいわね……2位じゃダメなの?頑張ったんだからいいでしょ? 今回は1位取れなかったの!」

「頑張っても満点じゃなきゃ意味ないのよ!」

『頑張っても満点じゃなきゃ意味ないのよ!』

私に言った……同じセリフ。

「酷いと思う」

「は? 何よ愛奈? 文句あるの?」

お母さんの強い口調に怯みそうになる。

「酷いと思う。 お姉ちゃんは……頑張って
……努力をしてたよ」
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