いつでも側に〜一途な両片想い〜
 鈴が直人の実家に住み始めて一カ月くらい経ったころ、鈴の母親が社長室に乗り込んできた。

「鈴を返して」

「今頃ですか?やっと、鈴さんが住んでた衣装部屋に顔を出されたと?」

 直人は鈴を預かると手紙を残していたが、今頃なのかと呆れる。

「煩いわね。鈴を誘拐したって訴えるわよ」

「では、こちらは育児放棄で訴えさせていただきます」

「なっ!?もう、育児放棄と言われるような年齢じゃないわよ。自分で仕事に行って買い物もできるんだから」

「買い物できる費用も置かずに?鈴さんが仕事して稼いだ給料はどこに?育児放棄は十八歳未満の子供に当てはまります」

「……」

「彼氏と別れて鈴さんと一緒に住むつもりですか?」

「はあ?あなたに言われたくないわ」

「それでしたら、お返しできません」

「もういいわ!」

 都合が悪くなったのか出ていった。
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