いつでも側に〜一途な両片想い〜
 『コンコン』

「はい」

「畑中鈴です」

「どうぞ」

「失礼します」

 社長室の奥のデスクで仕事をしていたお兄ちゃんが、こちらにやってくる。ドキドキが止まらない。

「どうぞ。座って」

「はい」

「どう?うちの実家は?困ってることはない?」

「はい。良くしていただいてます」

「鈴。今は俺と鈴しかいないんだ。気楽にしてくれていい」

「うん」

「本題なんだが」

「うん」

「鈴ももうすぐ十八歳になる。デビュー十八周年だ」

「……」

「どうした?」

「うん。全く実感がなくて……」

「必死に頑張って来たもんな」

 直人お兄ちゃんに優しい顔で言われて、胸が熱くなると同時に、気づけば目から涙が溢れていた。
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