いつでも側に〜一途な両片想い〜
 『コンコン』

 タイミングよく、社長室の扉がノックされた。

「はい」

「畑中です」

「どうぞ」

 そっと扉が開く。そして、鈴が顔を覗かせる。

「……」

 鈴の父親は、テレビでは成長を見てきたが、直接会うのは十八年振り近くになる。感極まり、涙を流している。

「お父さん?」

 鈴の記憶にはない父親の姿に、半信半疑だ。

「鈴……。すまない」

 お父さんと呼んでくれた喜びと、美しく成長した愛しいわが子。親の身勝手で、罪のないわが子に苦労をさせてしまった思いから、謝罪の言葉が溢れた。


< 49 / 54 >

この作品をシェア

pagetop