婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「フローラちゃん、ディアナ。こんにちわ。よく来てくれたわね」

 部屋に入った王妃陛下よりにこやかな笑顔であいさつを受けました。
 
「王妃陛下、本日はお招きいただきありがとうございます。とても、光栄に存じます」

 カーテシーをして礼を取ると

「そんな堅苦しい挨拶はよいのよ。さあ、座って」

 王妃陛下がさっそく座るようにと促してくださいました。

「それから、王妃陛下なんて畏まらなくていいから、この前言ったように呼んでちょうだい」

 すかさず要望が入ってしまいました。あまりにも馴れ馴れしすぎでお呼びするのもおこがましいのですが。

「はい。ローズ様」

 消え入るような控え目な声で名前を呼ぶとローズ様は満足そうに微笑みました。

「じゃあ、次はわたくしね。フローラちゃん、呼んでみて?」

 今度は王太子妃殿下から催促されました。これは王族の試験なんでしょうか? 合格しないとお茶会に参加できないとか? 

「アンジェラ様」

「ふふっ。よいわね。いい響きだわ、これからもよろしくね」

 アンジェラ様もなんとも喜びに溢れた表情で笑ってらっしゃいます。

 合格ということなのでしょうか。

 前回、夕食をご一緒した時、緊張でガチガチだった私に、ローズ様とアンジェラ様の親しみやすさ、気さくな振る舞いに心が解されて、いつの間にやら自然と会話の中に入っていました。

 
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