婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「それではフローラ嬢の後ろにはマクレーン伯爵家、ひいては王家がついているといっても過言ではないということですか?」

「ああ、そうだろう。だからこそ、慰謝料で解決したかった。これがずっと尾を引かなければいいがな。国の宝玉と讃えられているフローラ嬢を婚約破棄に追い込んだのは、チェント男爵家の娘だと社交界でも知れ渡っているだろうからな。お前も覚悟しておけよ」

 父は眉間にしわを寄せて頭を抱えてしまった。

 これから商談も控えているのだが、うまくいくのだろうか。
 汚名を返上する方法はあるのか考えよう。
 
「厄介どころか、疫病神のなにものでもない。養女にしたのが間違いだった」

 今頃後悔しても遅いのだが、返す返すもあの時仏心を出すのではなかった。

 俺たちがこんなに悩んでいても、リリアはこの世の春とばかりに幸せにいりびたっているのだろう。

 それが腹立つな。


 しかし、この時にはもうとっくにカウントダウンは始まっていた。

 ディアナ嬢の不興を買い、ガーデンパーティーでの無礼な態度で王妃陛下にも見放されていたとは……


 それら最悪の事態を俺たちはあとで知ることになるのだった。
 
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