【だから、近くに…】
ジンはタバコを吸い終わり、黒いブーツの底で揉み消した。
携帯電話を取り出し、アイツを呼び出す。
「なぁ、ちょっと出て来てよ。
逢いてぇんだ。
すぐ前まで来てっから」
甘えたみたいに優しい声を出しながら、その目は、恐いくらいに、冷めていた。
「すぐ、出てくんぞっ」
バイクの後部座席から飛び降りた俺は、腰を低くして、両手を伸ばして銃を構える。
すぐ横でジンは、バイクにまたがったまま、拳銃を握った右手を、真っ直ぐに伸ばした。
真っ直ぐに伸びた俺たちの手は、そんなデッカイ物を掴みたかった訳じゃねぇ。
ただ小さな、
俺たちの未来を、
変えるため・・・
