素直になれない…
さすがに携帯を預けられたまま当惑していると、パーティーが終わったのを見計らったようにメールが届きホテルのラウンジへと呼び出された。

「お、来たな」

そりゃあ携帯を預けられたら逃げることはできない。

「はい」
テーブルの上に置いた雄平さんの携帯。

ここに来るまで何度も着信があったし、メールも相当届いていた。
仕事で緊急の用事だってあるかもしれないのにと、気が気じゃなかったんだから。

「何か飲むだろ?」
「うん」

さすがにここまで来て帰るってのはない。

結局雄平さんお勧めのカクテルを注文してもらい、2杯ほど飲んだ。
芽衣ちゃんと奏多さんの結婚式の話題で会話も弾んだ。
そのうちだんだん気持ちもよくなって、雄平さんに誘われるままホテルに泊まり関係を持った。


それからは時々呼び出され、食事をし、セフレな関係を続けている。
好きだとも、付き合ってくれとも言われたことのない体だけの関係。
それでも、私にとって彼は特別な存在になっていった。
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