素直になれない…
「大丈夫だよ。子供はちゃんと育てるし、雄平に迷惑をかけるような」

ムギュッ。
痛いっ。

いきなり伸びてきた雄平の手が私の頬っぺたをつまんだ。

「何するのよ」
「お仕置」
「はあ?」

何で私がお仕置される訳、意味が分からない。

「お前は俺のことが好きだから、関係を続けたんじゃないのか?」
「そうよ」
もちろん。

好きでもない男に何度も抱かれる趣味はない。

「じゃあなぜ俺から逃げることばかり考える?」
「それは、」
「俺に同棲中の女がいるから?」
「そうよ」
わかっているじゃない。

「本当に、バカだな」
「もー。バカバカってうるさい。彼女がいるのに私との関係を続ける雄平の方がよっぽどバカでしょうが」

今まで必死に我慢して冷静でいようとしたのに、とうとうキレてしまった。
雄平の前では大人の女でいたかったのに。
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