素直になれない…
「ほら」

感情が溢れてしまった私を落ち着かせるように、雄平がお茶を入れてくれた。

「ありがとう」
グスン。

おかしいな、私は人前で泣くような女じゃないのに。
妊娠すると涙もろくなるのかな。

「それと、これ見て」

渡されたのは保険証。
あ、これって、彼女さんのだ。
この顔には見覚えがあるもの。

「何で?」
「いいから、よく見て」

よく見ろって言われても・・・

名前は田中夕貴(たなかゆうき)さん。28歳。男性
へぇ?
男・性?

嘘、だって、すごい美人だし。
どこからどう見ても・・・

「わかった?」
「・・・うん」
どうやら私はどんでもない誤解をしていたらしい。

「俺の彼女は藍だけだし、藍以外を抱いたりしない」
「うん」
「自分の彼氏が女と同棲していると思ったのにどうして何も言わないんだ?」
「それは・・・問い詰めて捨てられるのが嫌だったから」
初めて本心を言った。

「捨てるわけないだろう、こんなにかわいいのに」

ギュッと抱きしめられて、ソファーに倒れ込んだ。
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