ゼッタイ結婚させない!
そう、この坂村 空音は正真正銘血の繋がった私の兄なのだ。
現在三十五歳。小さな建築会社を営む…一応肩書は社長。 とはいえ現場仕事も下の衆たちとばりばりこなす。
母が九州の実家で悠々自適に暮らせているのも、兄のお陰である。
私とは十も歳が離れていて、両親の不在だった酒村家で兄が私の親代わりをしていた記憶はある。 そして現在も変わらずに過保護な兄なのだ。
「水商売のバイトはやめろ」
帰って来て早々リビングに呼び出された私に放った一言がそれだ。
眉をしかめ、すごく恐ろしい顔をしている。
しかしこれはデフォルトでもある。
確かに面倒見の良い人なのではあるが、兄は滅多に笑わない。 どちらかといえば不愛想なタイプの人間だった。
しかし口やかましい。
「何で、やめないよ。 お金欲しいもん」