あやかし戦記 闇の中の流星
ベラは、アレス騎士団に最近入団することになった吸血鬼だ。ツヤの血を飲んだことにより、何故か理性を取り戻した。五百年前にミツヒデ・シノノメたちに捕らえられ、吸血鬼に姿を変えられた元人間である。

イヅナは驚きつつも、ツヤの血を使って妖に姿を変えられた人を救えるのではという喜びが胸にあった。だが、吸血鬼が仲間になったことをよく思っていない人間は多い。

「……そんな目をしなくても、私はツヤさんの血を飲んで以来、誰の血もほしくないわよ。いちごジュースは定期的に飲みたくなるけどね」

「あなたはギルベルトさんの屋敷を他の妖と共に襲った妖ですから」

ヘラリと笑ったベラに対し、ヴィンセントは冷たく言い放つ。空気がどこか重くなったが、ツヤが大声で叫ぶ。

「レオナード、ヴィンセント!手当てが終わったなら、次はお前らの番だ。しごいてやるから覚悟しな」

「ヴィンセント、行こうぜ」

ベラを睨み付けるヴィンセントの肩をレオナードが掴む。二人はそのままツヤのところへ向かい、残ったイヅナはすぐにベラに頭を下げた。
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