あやかし戦記 闇の中の流星
そう吐き捨てるように言うベラの目は、人を救おうとするアレス騎士団の団員そのものだった。レオナードとヴィンセントが顔を見合わせ、何かを呟いている。

イヴァンは舌打ちをした後、顔を顰めて脇腹に手を当てた。どうやら怪我を負っているらしい。

「ハハッ、今日のところは僕の負けかな?」

イヴァンはそう笑った後、姿を一瞬で消してしまう。イヴァンが消えた場所を数秒見つめた後、ベラはイヅナたちの方を向き、微笑む。

「奴に発信器をつけたわ。これでアジトがわかる」



それから数日後、イヅナたちは森の中を歩き、いくつもの谷を越えた。そして、目の前に目的地が見えてくる。

「ここが、奴らの……」

ツヤが無表情で呟く先には、今にも朽ちてしまいそうな古城がある。

ここが、最終決戦の舞台なのだ。
< 32 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop