俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 現場では押し殺していた暗い気持ちが溢れて止まらない。一人でいるだけで、嫌なことばかり考えてしまう。

「そうだ……夕食取らなきゃ……」

 帰りに買ったコンビニ弁当を温めるために電子レンジへと向かう。今日は色々ありすぎて料理を作る気力すら湧かなかった。
 食欲も全く湧かなかったが、食べなければ仕事に差し支えることは分かっていたため、無理にでも詰め込まなければならない。

 キッチンに入ると、ふと、視界の端に思い出深いものが目に入る。

「これ……夫婦茶碗…………あのとき、結婚する前に買ったんだよね」

 赤と青の対になっている茶碗。
 高いものではないが、私にとってはなによりかけがえの無い思い出の品だった。
< 219 / 291 >

この作品をシェア

pagetop