俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
「それにこの提案はお前のためでもあるんだ。俺はお前の演技を何度か見たことがあるが……正直あのような場末の舞台で演じるのは宝の持ち腐れだ」
「……っ、なっ!」
場末の舞台といわれたことで腹に溜まった怒りが吹き出し、思わず席を立つ。
眼前の玲二を出来うる限りの怒気を込めて睨みつけるものの、彼は相手に取ることなく肩をすくめるだけだった。
「……お前の才能は花宮いつきと同等か、いや、それ以上だ。これまで多くの芸能人を見てきた俺が言うんだから間違いない」
「……っ、それは……」
思いがけず賞賛されたことに怒りのやり場を無くした私は言い淀む。鬱憤の炎は急激に鎮火しつつあり、知らず知らずのうちに椅子へと腰を落ち着かせていた。