俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 正直ここ数日は玲二にいわれたことなど夢だったのだはないかと何度も考えた。
 連絡先も交換することがなかったため、放置状態だった。あのときは劇団の解散という爆弾によって混乱状態であり、勢いに任せて玲二の条件を呑んでしまったのだが。

 あとから考えて、玲二の訪ねてくるタイミングが大分良すぎると疑心暗鬼に陥った。けれどよく考えてみれば劇団を畳むというのも団長自身が決めたことであるし、すべて偶然が重なったのだろう。結局そう結論づけることとなった。

「……というか、普通に話しかけられたので答えましたけど、私怒ってますから」

「なんだ? なぜそこで俺を睨む?」

 覚えていないのか、と内心呆れてものが言えないが、女たらしの玲二にとって別れ際のキスは大したものではないのだろう。
 咎めるような視線も気にすることなく窓の外へ視線を向ける玲二にはらわたが煮え繰り返る。
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