初恋は海に還らない
洸が私にくれたものを、ただ返すだけ。
震える洸の両肩を摩る。少しでも楽になれるよう、落ち着くまで続ける。
心の傷は簡単には癒えないし、後悔は何度でも蘇る。けれど、その度何度でも立ち上がれるように、苦しみで身を縮め動けなくならないように。願いを込めて。
その時、上擦り掠れた声が、私の耳に届いた。
「……ありがとう、都」
その血の通った言葉に、私の目から一筋涙が溢れた。
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