伯爵令嬢は無口な婚約者から愛の証を貰いたい
「そうか。・・・約束とは?」

 珍しく、グレンから質問が来る。だが、正直に答えることもできない。

「あの、今日はグレン様と街歩きをするので、楽しむことを約束していました」
「・・・そうか。もう一つ、約束があると言っていたが」
「そ、それは。もう、大丈夫です。終わったことです」
「・・・そうか」

 また沈黙となる。せっかく二人で食事をしているのに、楽しめる気分ではなくなってしまった。やっぱり、グレン様とはもうダメかもしれない、と、メイティーラも曇った顔になってしまった。

「食事が終わったら、君に渡したいものがある」
「え。私にですか?」
「ああ、君に。できれば、人気のないところが嬉しいが、場所に疎いので、申し訳ないが思いつかなくてね」
「今日はお祭りなので、どこも人でいっぱいかもしれませんね」
「では、我が家でもいいだろうか」
「はい、大丈夫です」

 渡したいものなんて、何だろうかと思いつつ、メイティーラ達はレストランを後にした。


◇ ◇ ◇


 リーバイは、少し離れた席で、メイティーラ達を眺めていた。

―――メイは、綺麗になった。あれは、昔から僕のものだ。あんな愚図な男には渡さない。

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