幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~
ヒヤリハット~祐斗side~
「視界は良好だし、着陸するか?」

「えっ?」

水瀬機長の思わぬ言葉に狼狽した。

「お前…まだ・・・3,45度の着陸経験したコトがないだろ?」

「しかし…」

去年三月から始まった羽田の新都心飛行ルート。
埼玉市付近から南下して、東京都心の新宿や品川を低空飛行するルート。
問題は着陸角度にあった。

「出来ないか?でも・・・少しずつでも経験は必要だぞ」

「分かってます」

国交省は更なるインバウンド特需、二年後の東京五輪に向けて国際線の増便を検討。
それが羽田の飛行ルートの見直しに繋がり、3,45度と言う危険な着陸角度に至った。

俺は何度か水瀬機長に同乗し、その角度を見ている。

今まで見ていた滑走路の見え方とは全く違う。

隣で見てて怖かった。それが正直なキモチだ。




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