社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
6-1.年末年始ハプニング①
 ハロウィンにくるみと初めて結ばれて以来、お互いの休みに合わせる形で二人の家を行ったり来たり。

 泊まったり泊まられたりな感じになっている実篤(さねあつ)とくるみだ。

 因みに、今日は実篤がくるみの家に泊まりがけで遊びに来ている。


***


「おじゃまします」

 くるみについて玄関の引き戸をくぐってすぐ。
 靴を脱ぎがてら何の気なしに手をついた下駄箱の上にあった一葉の葉書が目についた実篤だ。

 郵便受けから取り込んだまま。何かの拍子に忘れて、そのまま置きっぱなしになってしまったんだろう。

 その手紙の束の一番上に、『岩国高校○年度卒業生同窓会のお知らせ』と書かれたものがあって、たまたまそれが視界に飛び込んできたのだ。

 岩国高校は実篤の母校でもある地元の県立高校だ。
 文武両道を謳う校風は、今でも健在だと聞いている。


(くるみちゃん、俺の後輩だったんじゃぁ〜)

 なんて、在学中校内では絶対に出会わない年齢差だったくせに、何だか嬉しくなってしまった実篤だ。


「くるみちゃん、これ、行くん?」

「高校の、ですよね。実は行こうか行くまぁーか迷うちょるんです」

 くるみにしては煮え切らない物言いに、実篤は「おや?」と思う。
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