社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
***

「まぁ玄関先で立ち話もなんじゃけ、中入って食べながら話さん? ――お腹も空いたし」

 母・鈴子(すずこ)に促されて、ハッとしたようにくるみが実篤(さねあつ)の横に出てガバリと頭を下げる。

「あ、あのっ。ご挨拶が遅れまして! 【私】、実篤さんとお付き合いさせて頂いちょります、木下(きのした)くるみと申しますっ。え、えっと、鏡花(きょうか)ちゃ……じゃのぉて……そのっ、きょ、鏡花さんの同級生ですっ」

 くるみの突然の挨拶に、鈴子がキョトンとして固まって……。

「ああ、くるみちゃん。そんなかしこまらんでもええんよ? うちはご覧の通り、そんな大した家じゃないけぇ。まぁ、とりあえず遠慮せんと上がって上がって」

 それを補うように父・連史郎(れんしろう)強面顔(こわもてがお)を思いっきり緩めて目尻に皺を作る。

 途端、今度はくるみがポォーッと固まってしまった。

「じゃけ、父さん! その顔は怖いけんしたらいけんっていつも(いついき)言いよぉーるじゃ……」

 それを見た実篤が慌てて父親を牽制したのだけれど。
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