社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
 展示ケースの中に置かれた紙片に、『エメラルドの宝石言葉は「幸運・幸福・夫婦愛・安定・希望」とされています。宝石言葉の他にも、〝愛の成就〟という意味を持っています』と書かれていたのが良い。

 何でも浮気を防止する意味も持っているらしく、お互いの浮気封じのお守りとしても、効果的なんだとか。

 常にくるみの可愛さに、他の男に()られるんじゃないかと不安を抱いている年上男の実篤(さねあつ)としては(これしかないじゃろ!)となって。

 やや食い気味にお勧めしてみたらくるみもことのほか気に入ってくれて。めちゃくちゃ前のめりで店員に「これにします!」と言っていた実篤だ。


「くるみちゃんが気に入っとったら指輪だって()うちゃげたよ?」

 そんなあれこれを思い出しながら何の気なしに言ったら「そんなに(そんとに)されたらお返しし切れんで困ります」とくるみが眉根を寄せる。

 こういうところ。本当にくるみちゃんは律儀じゃわ、と思った実篤(さねあつ)だ。

「くるみちゃん、何か忘れちょらん? 俺、こう見えても一応社長なんじゃけど」

 小さな不動産屋だけれど。
 それでも業績は結構いい方だと断言出来る。
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