社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
 くるみに、自分は彼女に対して性的興奮を覚えない無害な男とでも思われちょるんじゃろうか?と考えたら何気に複雑な心地がした実篤(さねあつ)だ。

(どうやったら、自分は他の誰よりも隙あらば彼女のことをどうこうしてやりたいと思うちょる〝危険な男〟なんかを分からせてやることが出来るじゃろうか?)

 気が付いたら、そんなアホなことを真剣に考えてしまっていた。

 だって悔しいじゃないか。
 こんなにくるみのことが好きなのに、そう言う風に思われていないと言うのは――。

 だけどそれと同じぐらい、ふたりきりで彼女の自宅にいる現状で、それに気付かせてくるみを怖がらせるような愚かな真似はしたくないとも思ってしまって。

(何じゃこれ。物凄(ものすげ)ぇジレンマなんじゃけど)

 考えれば考えるほど頭を抱えたくなった実篤だ。



「――実篤さん、さっきから黙り込んで。どうなさいましたか(しちゃったんですか)?」

 実篤の心の葛藤を知ってか知らずか、当のくるみは呆気らかんとしたもので。
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