社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
***

「――っちゅう事があったんよ」

 夜。

 お互いの仕事が終わって恋人(くるみ)と電話で話している時に、実篤(さねあつ)は昼間職場であったアレコレを溜め息まじりにつぶやいた。

 くるみはその話を聞いてクスクス笑うばかり。

 電話口から聞こえてくるその笑い声が心地よく耳をくすぐって、実篤は(俺、いまめちゃくちゃ(ぶちくそ)幸せじゃん!)と実感する。

 それと同時、(通話先のくるみも同じように感じていてくれたらええのぉー)と願わずにはいられない。

 そんなささやかな希望を(いだ)きはするものの、イマイチ自分に自信が持てない実篤だ。


「俺としちゃあさ、まだくるみちゃんが俺なんかでええっ(ちゅ)うてくれちょるん自体、未だに夢うつつじゃけん。若い(しゅ)からそんなん言われたら凄い(ぶっ)不安になるんっちゃ」

 宇佐川(うさがわ)が言ったように、年齢から言うとくるみと同い年な彼の方が、どう考えても有利に思えたし、二つ、三つ程度の年の差なら気にならない実篤も、さすがに七つも離れているとあっては気にしないではいられないわけで。
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