社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
***

それで(ほいで)社長、今日はそんな(そがぁな)格好して木下(きのした)さんがいらっしゃるのを待っちょってんですか?」

めちゃくちゃ(ぶぅ〜ち)健気じゃないですかぁ〜。野田さぁ〜ん、どうしましょー? 私、何か社長が可愛く見えてキュンキュンきちゃうんですけどぉ〜!」

 女性陣二人にクスクス笑われて、実篤(さねあつ)は穴があったら入りたい心境だ。

「やっぱ俺、脱いでくる!」

 くるみからのお願い事だったから彼女の来訪に合わせるように渡されたモノに着替えてはみたものの、さすがにここまで揶揄われては堪らないではないか。

「ちょっ、脱いじゃダメですよぅ。めちゃ(ぶち)似合(にお)ーちょってですけぇもったいないです! それに……その姿をして彼女のことを待っちょくのは木下さんとのお約束なんでしょう?」

 きっと今頃木下さんだって社長と同じような境遇のはずですけぇね?と田岡になだめられて、「じゃったら笑わんでくれよ」と思わずにはいられない。


「ホンマ社長は世話の焼ける人ですねぇ。――そう言う格好をした時は変に恥じらったら負けですけぇ。開き直った(モン)勝ちです! ほらほら、胸張って堂々としちょきんちゃーい!」

 実篤よりも年上というのもあるんだろう。
 彼の、しゅん……と丸まりかけた背中をバシバシ叩きながら、野田が実篤を叱咤激励?する。
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