社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
 家の飾り付けにしてもひどく凝っていて光や音の演出が凄い家もあるから、大人が見ても楽しいらしいです、とくるみが瞳を輝かせた。


 メインゲートでくだんの基地勤めの日本人従業員――堀さん――と落ち合った実篤(さねあつ)とくるみは、そこで彼にエスコートをしてもらって基地に入った。

 基地内のハロウィンイベントに参加する人間は事前登録が必要だったらしいのだが、くるみが実篤の名前もちゃっかり伝えていたらしく、滞りなくベースに入る許可が下りた。

 エスコートを受ける際、身分証明証として免許証の提示が必要だったけれど、昔と違って車のエスコートは必要なくなったとかで、その分書類は少なめで済んだ。

「昔はねぇ、我々基地従業員も自分の車にパスステッカーを発行してもらって車体に貼らんといけんかったんですよ。車検のたびに更新せんといけんし、正直かなり(ぶちくそ)面倒臭かった(せんなかった)んじゃけど」

 それがなくなってからは、例えば車が車検などで代車になった時なんかも、何の手続きもなく基地内に乗り入れられるから楽になったのだと堀さんが教えてくれた。


「登録してない車両は車もエスコートせんといけんかったけぇね、ホンマ書く書類が多くてまいりました」

 今自分達がエスコートしてもらうのにも、憲兵隊(PMO)が用意している書類に住所・氏名・年齢・連絡先電話番号を書かされた。
 これに車の書類(車両番号や車検の満了日など)もあったのだと思うと確かに面倒(せんな)そうだなと思った実篤だ。

 手続き後にもらったビジターパスには、「Visitor」という文字とは別に、数字が入っていて、その数字が先ほど書かされた書類にも明記されていて連動していた。

「ベースん中におる間はパス(これ)、よぉ見えるところに付けちょってくださいね」

 そうPMOの日本人従業員に言われた実篤とくるみは、上着の胸のところにそのパスを〝半ば無理矢理〟取り付けた。

 というのも――。
< 86 / 419 >

この作品をシェア

pagetop