eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
「眠たい……」
昼休み、私はグラウンドのそばにあるベンチに座っていた。
天気もいいし、たまにはこんな時間もいいよね。
眠たいはずなのに、私はとにかく気分が良かった。
コンビニで買った生クリームがたっぷり入った苺のサンドイッチを頬張る。
甘さと一緒にスッとするような酸っぱさを感じて、思わず顔がほころんだ。
なにより、昨日は2ヶ月の努力のうえ勝利までしちゃったからね。これは自分へのご褒美。カロリーも気にせずふたつめを口に入れる。そういえば、ヤマトのSNSをチェックしないと。
私はスマホを取り出してヤマトのアカウントを見に行く。
あ、けっこう呟いてる。
『昨日の配信も見に来てくれてありがとうございました! また編集したら動画であげますねー』
『今編集してるんだけど、やっぱり昨日のハルさんのストロベリーの動き半端ない。もしかして大会とか出てる人? でも大会でストロベリーメインの人って日本にいたかな?』
『うーん。ハルさん、もしこの呟き見てたらメッセージください。今後のためにも練習相手になっていただければ……笑』
――え、私のことが書いてある?
思わずスマホから手が離れてしまい、慌てて膝を閉じてスマホを受け止めた。
深呼吸してヤマトの呟きを見ても、やっぱり現実に書いてある。自分の目を擦ったり、スマホの画面を拭いてみたりするけど消えない。
ヤマトのSNSフォロワーは八万人超。その呟きにも、もちろんファンからのメッセージが届いている。
『たしかに昨日のストロベリーはやばい。かなりの玄人だと思う』
『一度ハルさんとオンラインで戦いましたよ。もちろん負けました』
『あれ、アカウントに覚えある……自分エンジョイ勢なので上位勢とはマッチしないはずなんだけど』
『↑少し前までエンジョイ勢だったか、もしくは最近アタックウォリアーズ始めたのか』
『最近初めてヤマトに勝ったとしたならやばすぎでしょ……おそらくプロの別名義』
私に関しての色々な推測まで飛んでいる……さっきまでの、のどかな気分のランチタイムは終わってしまった。
もしかしたら、私は大変なことをしでかしてしまったのかもしれない。
とにかく、ヤマトの気が変わらないうちに返信をしてしまおう。