eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
池のほとりには品のいいベンチがあった。
水中には、紅白の鯉が優雅に泳いでいる。
「わー! すごく大きい」
私が池を覗き込むと、ヤマトはベンチに腰掛ける。
「俺が小さい頃からいる鯉だよ」
その言葉から、ここが本当にヤマトの家なんだということを実感する。
「あれ? そういえばヤマトって都心の高校じゃなかったっけ? ここからじゃ遠くない?」
「ここは実家なの。普段は向こうで部屋借りてるんだ。事務所がうるさくてさ、ここで練習するならいいって」
「そうなんだ……。ごめんね、私のために」
やっぱり私のことは、ヤマトの事務所も気にしてるんだ。
「いや、謝らないで。俺にとってもハルとゲームすることは成長に繋がるし、それが事務所のためにもなるんだから」
「そういえば、この前の配信で言ってた『女性とのコラボに事務所はNG出してない』って話しは本当なの?」
「本当だよ。事務所はNGじゃないけど、俺個人がNGにしてただけ。あえてそこは言わなかったけど」
そう言うと、ヤマトはいたずらっ子のような顔をして笑った。
すごく純粋そうな人だと思っていたけど、案外策士なのかもしれない……。
でも、なんでヤマトは女性NGにしていたんだろう。
そこまで聞くのは、あまりにも失礼だろうか。
「ありがとう。私を守ってくれて」
「――あ、当たり前だろ。俺たち友達なんだから!」
ヤマトを見つめると、耳を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
……本当に素敵な人だと思う。
あの炎上のあと、私は考えていた。
私だってヤマトのことを知って、憧れたとき……投げ銭でヤマトに名前を呼ばれる人が羨ましかった。ううん、腹立たしかった。
私があのとき苛ついたみたいに、私とヤマトが出逢ったことで、ヤマトへの恋心を自覚した人がいたのかもしれない。だから、私に誹謗中傷を送った人達を一概に責める気にもなれない。
――だけど、誰かが傷つくから恋愛をやめる。なんてことは間違っていると思う。
今はただ、そう信じたい。
「あのさ、コメントでハルのこと色々言う人がいたけど」
ヤマトはそっぽを向いたまま言葉を続ける。
「仮にハルが出会い目的だったとしても、俺はハルと出会えて嬉しい」
その言葉を聞いて、私の顔に熱が集まってくる。
それはきっと、夏の暑さのせいじゃなかった。
水中には、紅白の鯉が優雅に泳いでいる。
「わー! すごく大きい」
私が池を覗き込むと、ヤマトはベンチに腰掛ける。
「俺が小さい頃からいる鯉だよ」
その言葉から、ここが本当にヤマトの家なんだということを実感する。
「あれ? そういえばヤマトって都心の高校じゃなかったっけ? ここからじゃ遠くない?」
「ここは実家なの。普段は向こうで部屋借りてるんだ。事務所がうるさくてさ、ここで練習するならいいって」
「そうなんだ……。ごめんね、私のために」
やっぱり私のことは、ヤマトの事務所も気にしてるんだ。
「いや、謝らないで。俺にとってもハルとゲームすることは成長に繋がるし、それが事務所のためにもなるんだから」
「そういえば、この前の配信で言ってた『女性とのコラボに事務所はNG出してない』って話しは本当なの?」
「本当だよ。事務所はNGじゃないけど、俺個人がNGにしてただけ。あえてそこは言わなかったけど」
そう言うと、ヤマトはいたずらっ子のような顔をして笑った。
すごく純粋そうな人だと思っていたけど、案外策士なのかもしれない……。
でも、なんでヤマトは女性NGにしていたんだろう。
そこまで聞くのは、あまりにも失礼だろうか。
「ありがとう。私を守ってくれて」
「――あ、当たり前だろ。俺たち友達なんだから!」
ヤマトを見つめると、耳を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
……本当に素敵な人だと思う。
あの炎上のあと、私は考えていた。
私だってヤマトのことを知って、憧れたとき……投げ銭でヤマトに名前を呼ばれる人が羨ましかった。ううん、腹立たしかった。
私があのとき苛ついたみたいに、私とヤマトが出逢ったことで、ヤマトへの恋心を自覚した人がいたのかもしれない。だから、私に誹謗中傷を送った人達を一概に責める気にもなれない。
――だけど、誰かが傷つくから恋愛をやめる。なんてことは間違っていると思う。
今はただ、そう信じたい。
「あのさ、コメントでハルのこと色々言う人がいたけど」
ヤマトはそっぽを向いたまま言葉を続ける。
「仮にハルが出会い目的だったとしても、俺はハルと出会えて嬉しい」
その言葉を聞いて、私の顔に熱が集まってくる。
それはきっと、夏の暑さのせいじゃなかった。