eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
私はノートを広げる。

「とりあえず今の段階で出場がわかっているプレイヤーのキャラや癖を調べたの。そこでストロベリーの欠点を補うキャラ……。私は『マカロン』がいいと思う」

「また玄人向けなキャラだな。大会ではあんまり見ないけど、どうして?」

「くのいちのマカロンには、ストロベリーにはない速さがある。弱点は防御力が低いことと、体重が軽いから一度攻められたらなかなかコンボから抜け出せないっていうのがあるけど……。だけど、全キャラでもトップクラスに速い性能と、コンボパーツの多さは魅力的だと思う。覚えなきゃいけない技術は多いけど、どうにかこの1ヶ月で……」

「まぁ、普通は1ヶ月で無理だよ」

ヤマトははっきりと言う。

「や、やっぱり……?」

「うん。でもそれは普通の人の場合。ハルのずば抜けたセンスと努力。それに俺のアドバイスが加わればいけるはず。頑張ろう!」

「――ありがとう! 私……私の努力を信じてくれたヤマトを裏切らない。今度の大会、上位に……いや、優勝してみせる」

目標は高く、大きく。そこに目線を置かないと、きっとこの1ヶ月頑張れない。


「……そういうところが好きなんだよな」


「え、なんて?」

「なんでもない。コントローラー準備して」

ヤマトはなぜか顔を真っ赤にしている。

私は自分の頬をぴしぴしとはたいて、気合いを入れた。
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