eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
ランダムに選ばれたステージは足場がひとつあるだけのシンプルな場所だった。
心のなかで舌打ちをする。
ワドウが苦手な動きは空中。つまり、ジャンプが必要になるステージの方が攻め込むチャンスが増える。
平らな地面での足の速さは……ワドウの方が速い!
「試合開始とともに、マンダム選手が俊足でハル選手に詰め寄るー!」
やばい、すでに間合いに――
「先制攻撃はマンダム! 下段の斬撃でストロベリーを浮かし、そのまま袈裟切りを決めていくー‼」
浮かされたストロベリーの落下速度は他のキャラに比べて遅い。
つまり、コンボを繋げられやすい。
空中でストロベリーの体制をずらす。でも、ずらした先は……まだワドウの間合い!
読まれてるっ‼
「木の葉切りが決まる! ハル選手、ステージ場外まで弾き出されたぞー!」
このままじゃやばい! 一度距離を置かないと!
「ハル選手がフレアサークルを展開! 円状の炎が発動するが……マンダム選手には当たらないー!」
……この後隙はまずい。
なにもないことを祈るが、マンダムさんがこの隙を逃すとも思わなかった。
ワドウがストロベリーの間合いに入る。それと同時に居合切りが発動し、ストロベリーは場外に落ちた。
「決まったー! ハル選手、今大会で初の黒星! マンダム選手は圧倒的なスーパープレイを見せてくれました!」
やばい。落ち着け。実況の声がやたら大きく聞こえる。
集中が途切れている証拠だ。
下段斬撃なんて来るのはわかっているんだから、できるだけ距離をとって弾幕を張るんだ!
「両選手キャラクターチェンジはないようです! それでは、第2試合開始‼」