eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
ワドウはさっきと同じように距離を詰めてくる。
私はバックステップで距離を稼ぎながら、飛び道具を連射する。

ストロベリーから虹色の矢が次々と撃ち出されていく。

「ストロベリー、距離を置いてのプリズミックアローだ! この弾幕、マンダム選手はどう対応するのかー⁉」

空中、下段、上段、変化を加えながら打ち出す矢に少しでも被弾すれば……そこから詰め寄る。私はマンダムさんに隙を与えないようにしているが、マンダムさんは当たらない。

――あのときの宅オフから練習しているのは、私だけじゃないってことだね。

額に嫌な汗が垂れる。

プリズミックアローのひとつを刀で打ち消したあと、居合切りの間合いまで詰め寄られてしまう。ストロベリーで攻撃の出だしの速い通常攻撃を出すが、ストロベリーの攻撃はワドウに届かない。刀のリーチが長い。

――やられる。

一瞬の間に攻撃され体勢を崩された私は、そのまま場外へと弾き出された。
ステージに復帰することも叶わず、この勝負を落とす。

「2回戦目もマンダム選手の勝利! 次の勝負、マンダム選手が勝てばハル選手は敗退となってしまいまーす!」

……やばい。次、負けたら終わり。
まさかストロベリーを使っているのにここまで圧倒されるなんて考えていなかった。

落ち着け。落ち着け。
手に汗をかいてきて、指先がうまく動かない。
これが、大会のプレッシャーなの……。

私は両手を合わせ、祈るようにして手を合わせる。

そのとき、会場の方から視線を感じた。

その方向に目を向けると、ヤマトが真剣な顔でこちらを見ている。

……そうだ。ひとりで戦ってるんじゃない。
ヤマトとの練習を思い出す。

大丈夫。まだ負けてない!


「おおおおー⁉ ここでまさかのキャラチェンジ! ハル選手はストロベリーからマカロンを選んだー!」


一瞬、マンダムさんの表情が変化した。
私がマカロンを使うのは予想外だったのだろう。

マカロンはストロベリーよりふっとばされやすい。
でも、もう触れさせなければいい。


「見逃せない第3試合目、開始ぃぃいいいい‼」

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