eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
「ハルは前、俺の実家に来たことあるよな」
「え、うん。とても立派な和風の……」
「実はさ、今の事務所に入る前はずっとじいさんとふたりで暮らしてたんだ」
「ふたりって……お母さんは?」
「父親は俺が生まれてすぐに病気で亡くなってさ。母親は……ずいぶんと会ってない。生きてるかもわかんないんだよ」
……そんな、ヤマトの家庭がそんな風になっているなんて想像もしてなかった。
「ごめん……! 私、辛い話を」
私の謝罪をヤマトは遮る。
「ううん、ハルだから聞いてほしいんだ」
ヤマトの真剣な表情。私は、この話を受け止めないといけない気がした。
「小学校三年のときかな。今のじいさんの家に、母さんと一緒に住んでたんだ。小学校から帰ったらさ、母ちゃんがぽつんと台所に座ってたんだよ」
「ただいま。って言ったんだけど返事はなかった」
「俺は母さんの近くに行ったんだ。そしたら、母さんが泣きながら怒り出してさ。『あんたがいるから、私は自由になれない! 女として幸せになれない‼』って」
「そのあと、荷物まとめて出ていったんだよ。連絡もとれない。どこにいったのかもわからない。失踪ってやつ。ばあちゃんも、もう亡くなっていたから……そこからずっとじいちゃんとふたりで、暮らしてたんだ」
ヤマトの辛い過去を聞いていると、胸がぎゅっと掴まれるように痛んだ。
優しいヤマトの笑顔の裏側に、こんなにも悲しいことがあったなんて……。
私は、なにを伝えたらいいのかわからず、ただ頷いて聞くことしかできなかった。
「それからなんだ。女性が苦手……というか、女性に対してどうしたらいいのかわからなくなったんだ。……いや、怖いって言った方が正しいのかもしれない」
「俺が話したら、俺が近くにいたら、その女の人の自由を奪ってしまうような気がして……。怖いんだ」
大きな体をしたヤマトが、切なさそうに外の景色を見た。
その瞳はひどく寂しそうに見える。
私の目から、あたたかい液体が溢れる。
「ヤマト、ごめん。思い出したくないこと、話させちゃったね」
「――ハル⁉ なんで泣いてるんだよ!?」
「ごめん、私なにも気の利いたこと言えなくて。ただ、ヤマトが辛かったこと、苦しいことを考えたら、涙が……」
「ほんっとに、ハルは……。どんなに優しいんだよ」
そう言うと、大きな手で私の頬に触れた。
彼の長い指が、私の涙をすくう。
「だからさ、ずっと避けていたんだよ。女の人と関わるのを。でも、ハルは違った」
「なんで……?」
「わかんない。会ったときから可愛いって思った。もっと話したいって感じた。一緒にゲームをしたとき、こんなにも笑い合える女の子がいたんだって自分でも驚いたんだ。それから練習したり、話したりして、もっともっとハルのことを知りたいと思った。一緒に居て楽しかった。もっとずっと一緒に居たかった」
ヤマトは私の手を握る。
「これは俺のワガママだけど、聞いてほしい。俺は、ハルの自由を奪いたいと思ってしまってる。そんな自分が嫌になるけど、止められない」
私は喉をごくりと鳴らす。
ヤマトは、私の手をぎゅっと強く握る。
「ハルのことが、好きだ」
「え、うん。とても立派な和風の……」
「実はさ、今の事務所に入る前はずっとじいさんとふたりで暮らしてたんだ」
「ふたりって……お母さんは?」
「父親は俺が生まれてすぐに病気で亡くなってさ。母親は……ずいぶんと会ってない。生きてるかもわかんないんだよ」
……そんな、ヤマトの家庭がそんな風になっているなんて想像もしてなかった。
「ごめん……! 私、辛い話を」
私の謝罪をヤマトは遮る。
「ううん、ハルだから聞いてほしいんだ」
ヤマトの真剣な表情。私は、この話を受け止めないといけない気がした。
「小学校三年のときかな。今のじいさんの家に、母さんと一緒に住んでたんだ。小学校から帰ったらさ、母ちゃんがぽつんと台所に座ってたんだよ」
「ただいま。って言ったんだけど返事はなかった」
「俺は母さんの近くに行ったんだ。そしたら、母さんが泣きながら怒り出してさ。『あんたがいるから、私は自由になれない! 女として幸せになれない‼』って」
「そのあと、荷物まとめて出ていったんだよ。連絡もとれない。どこにいったのかもわからない。失踪ってやつ。ばあちゃんも、もう亡くなっていたから……そこからずっとじいちゃんとふたりで、暮らしてたんだ」
ヤマトの辛い過去を聞いていると、胸がぎゅっと掴まれるように痛んだ。
優しいヤマトの笑顔の裏側に、こんなにも悲しいことがあったなんて……。
私は、なにを伝えたらいいのかわからず、ただ頷いて聞くことしかできなかった。
「それからなんだ。女性が苦手……というか、女性に対してどうしたらいいのかわからなくなったんだ。……いや、怖いって言った方が正しいのかもしれない」
「俺が話したら、俺が近くにいたら、その女の人の自由を奪ってしまうような気がして……。怖いんだ」
大きな体をしたヤマトが、切なさそうに外の景色を見た。
その瞳はひどく寂しそうに見える。
私の目から、あたたかい液体が溢れる。
「ヤマト、ごめん。思い出したくないこと、話させちゃったね」
「――ハル⁉ なんで泣いてるんだよ!?」
「ごめん、私なにも気の利いたこと言えなくて。ただ、ヤマトが辛かったこと、苦しいことを考えたら、涙が……」
「ほんっとに、ハルは……。どんなに優しいんだよ」
そう言うと、大きな手で私の頬に触れた。
彼の長い指が、私の涙をすくう。
「だからさ、ずっと避けていたんだよ。女の人と関わるのを。でも、ハルは違った」
「なんで……?」
「わかんない。会ったときから可愛いって思った。もっと話したいって感じた。一緒にゲームをしたとき、こんなにも笑い合える女の子がいたんだって自分でも驚いたんだ。それから練習したり、話したりして、もっともっとハルのことを知りたいと思った。一緒に居て楽しかった。もっとずっと一緒に居たかった」
ヤマトは私の手を握る。
「これは俺のワガママだけど、聞いてほしい。俺は、ハルの自由を奪いたいと思ってしまってる。そんな自分が嫌になるけど、止められない」
私は喉をごくりと鳴らす。
ヤマトは、私の手をぎゅっと強く握る。
「ハルのことが、好きだ」