6月の雪 ―Special Snowflake―

「もう! 呼ばれないで自分から起きてきなさいよ」

 のっそりと起きてきた私を見て、ママはあきれるように言った。

「……今日、日曜日じゃん。いつまで寝てたっていいでしょ」

 なんだかイライラしているママは、いつもよりバッチリメイクをしていた。寝起きの目に飛び込んできたのは、アイシャドウもチークもリップもみんな濃くて、どっかのお笑い芸人みたいな顔だった。

「新菜、ちゃんと学校行ってるの?」

「え?」

「先生から連絡があったわよ。遅刻も多いし、授業も出ない時があるって。ちゃんと勉強してよね。成績が落ちたとか恥ずかしいったらないわ」

「……」

 遅刻が多いのは前からだけど、最近はSSFのことに夢中で授業もサボリがちになっていた。他のメンバーみんなは、さすがクラス委員ってだけあってそこらへんは真面目だけど、私はどちらかといえば授業も出たくないと思っていた。
 だから蒼生くんと屋上で話していたり、こっそり1人で屋上で過ごしたりしていた。

 担任もすぐ親に連絡するんだな……。

 本当に面倒くさい。

 そう思うと無意識にため息が出た。

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