6月の雪 ―Special Snowflake―

「ママこれから仕事で出かけるから、遅くなるわよ」

「え!? 今日も仕事!? 日曜じゃんよ」

「しょうがないでしょ。日曜だって働けばお金になるんだから」

 ため息をつき、私を見ながら言うママは慌ただしく支度をしている。

「……また、私のためとか言うんでしょ」

「……」

 無言……冷たい目……。

 ママはそのまま何も言わず家を出た。

「……」

 なによ。本当のことじゃない。

 ああやって腹が立つとすぐ無視して出ていくんだ。ママの方が子供みたいじゃんよ。
 辛い仕事も我慢してやっているのは私のため。いつも言う。いつもイライラしているママを見て、その言葉がすごく重荷になる。

「……はぁ」

 ヤダな。家にいると……ママのことを考えて、ため息ばかりだ。

 私が悪いわけじゃないのに、なんでこんなに悲しくなるのか……成績さえ良ければ、ママはそれで満足なわけ?

 私が素直に謝ればママは笑顔になるの?

 でも、謝りたくもない。

 考えれば考えるほど、私の方がイライラする。
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