独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる

 奏一がテーブルの上に頬杖をついたままにこにこと笑う。

 しかし口調こそ楽しそうだが、彼の目は真剣そのものだった。結子がどうにか引き延ばそうとする考えに先回りし、絶対に逃げられないように先手を打たれている。そんな気分になってしまう。

「……なんでそんなに急ぐの?」
「えー? 兄さんもだけど、俺も今が結婚に適した運勢だから?」
「……は?」
「運気がいいときに結婚した方が縁起いいでしょ?」

 うさんくさい笑顔を浮かべて、ふざけているとしか思えない理由を並べる。だから結子の口角はまたも引きつる。この人はやっぱり私のことを馬鹿にしているだけなのでは、と思ってしまう。

「それ絶対うそでしょ。違う人間が同じタイミングで運気が最良なんてことある?」
「あるある。だって俺と兄さん、双子だよ? 干支も星座も血液型も同じだし、生まれた時間もほぼ一緒だし?」
「……」

 それは確かにそうだ。占いに使う情報がすべて一致してるから同じ結果になると言われれば、ぐうの音も出ないのだけれど。

< 22 / 108 >

この作品をシェア

pagetop