恋のチャンスは3日間
このときを楽しむ!と決めたので、ドキドキしながら郡司さんの横に座った。

「どうそ」

お酒をつくって渡すと

「ありがとう」

と言って、一気に飲み干す。

「ああ、うめぇ」

空になったので、もう一回作る。

「空きっ腹にそんな一気にいれたら、また悪酔いしますよ」

「このくらいなら平気。・・・これ、食べて良い?」

テーブルに置かれたつまみを指差す。

「どうそ。好きなだけ」

「おお、やった」

無邪気な子供みたいにつまみとお酒を飲んでる郡司さんが愛おしいと思う。

幸せな時間だ。

「でも、なんだな。こんな風に森下と酒を飲むなんて思ってなかったなあ」

お腹が少し落ち着いたのか、話しかけてきた。

「そうですね。私もまさかたけちゃんが郡司さんを連れて来るとは思わなかったです」

「ああ、そうだ。で、そのたけちゃんはどこ行った?」

言って良いのかな?

「・・・彼女のところに・・・」

私の言葉に視線を少し落としたのがわかった。

「ああ、杉崎さんのとこ?」

「そうです」

「あの2人て付き合い長いの?」

「そうですね。大学2年の時からなので、5年になりますね」

「・・・そっか」

「き、気になります?」

「うん、まあ、ちょっといいなって思ってたからさ。彼氏はいるんだろうと思ってたけど、まさか野村だったとは・・・」

チーン。玉砕。告白する前に振られました。

ズッシリと心が重くなる感覚。

「李奈、綺麗ですからね」

「・・・そうだな」

テンション落ちた。

ガッツリ。

「森下は野村とも友達?」

「たけちゃんは幼馴染みです。家が隣どおしで、生まれた時から大学まで一緒です」

「へえ。それで恋とかにならなかったの?」

「あー、それ良く聞かれるんですど、全くないですね。本当にただの幼馴染みなので。」

「そんなもん?」

「はい、もちろんたけちゃんのことは好きですけど、恋愛感情というよりは家族愛に近い感じですね。」

「なるほど。杉崎さんと付き合い始めた時はどう思った?」

「良かったなって思いました。李奈がたけちゃんに片想いしてたいの知ってたんで」

「そうか」

「郡司さんはどうして李奈のこと・・・」

「ああ、まあ、最初は綺麗な子だなって思った」

「うん」

わかる。李奈はパッと咲いた花のように人を引き付ける容姿をしているから。
女の私でさえ時々見惚れちゃうくらい。

「綺麗な子なのに、親しみやすいっていうのが凄いなって単純に思ってて、俺が知ってる綺麗系の女って自分に自信があるからどこか壁があるっていうか、プライドが高いっていうか、親切にしてるんだけどなんか見下してる感があるっていうかね。・・・ま、そう感じるのは俺がひねくれてるからって言うのが大きいんだけど」

「ひねくれてるんですか?」
李奈から話を逸らしたい。

それにしても郡司さんが?あんまり思ったことないけど。

「まあな。森下が見てる俺なんてほんの一部分だよ。俺どす黒い人間だから」

「えええ、そんな風には見えないですど」

「見えないんじゃなくて、見せてないから。で、その部分が付き合ってる女に見え始めると振られるだよね」

ん?どういうこと?
「何をみせたんですか?」

「それは森下には教えられないな」

ニヤリとちょっと悪い顔で笑った郡司さん。

私にはかっこよくしか見えない・・・もはや病気だわ。これ。

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