捨てられた聖女のはずが、精霊の森で隣国の王子に求婚されちゃいました。【改稿版】
王子様からの求婚

 ーーどうやら死んではいないようだ。

 そのことにホッとしていると、ふっと笑みを零したレオンが優しい甘やかな声音をかけてくれた。

「ノゾミは本当に優しい心根の持ち主だね。そういうところ、堪らなく愛おしいよ。ねえ、ノゾミ。僕と一緒にモンターニャにきてくれないかな?」
「そんなことできない」
「どうして?」
「だって、皆と離れたくない」
「あー、そのことなら問題ないよ。実は、ルーカスさんも父上の臣下だったんだ。僕も誰かまでは知らなかったから驚いたけどね」
「ーーええッ!?」

 レオンと話しているうち、私の知らなかった事実に行き当たり、驚きを隠せないでいる私にレオンから説明がなされるのだった。

 驚くことに、ルーカスさんもソフィアさん同様モンターニャの王命により潜入し、不穏な動きがないかずっと探っていたそうだ。

 なので、記憶を失っていたレオンの容姿や身なり、醸し出す雰囲気や気品漂う所作から、ルーカスさんは、『もしや』と思っていたらしい。

 実は、私に宣言してくれた時には、レオンは既に記憶を取り戻していたのだという。

 その際に、ルーカスさんに正体を明かし、ルーカスさんが父上の臣下だということを知ったらしい。

 そしてレオンがこの国に訪れた目的は、流行中の疫病も『追放された聖女の驚異的な力』をもってすれば、なんとかなるかもしれないと、聖女を探し出す役目を担っていたのだという。

 それで私には正体を言い出せずにいたらしい。

 私と一緒に過ごす中で、想いがどんどん募り、理由はどうあれ、聖女である私のことを利用しようしていることに変わりはないと、良心との呵責に苦しんだ末、王都から帰ったら、正体を明かさずに、私の元から去ろうと決めていたのだそう。

 それがまさか、王都であんな展開になるなんて、本当に、人生何が起こるか予測がつかないものである。

 それから流行中の疫病もソフィアさんの働きにより、王太子が仕組んだことであったと判明し、既に解決に向けて動いているらしかった。

 因みに、王都で会ったレオンの知り合いというのは、レオンの近衛騎士だったらしい。

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