振られた私を御曹司が拾ってくれました。
すると突然、部屋の呼び出しのベルが鳴った。
こんな時間に、誰が来たのだろうか。
インターホンのカメラモニターを駿が確認する。
私もモニターを横から何気なく覗いた。するとそこには女性の姿が写っている。
駿は、あきらかに動揺した表情になった。
(…その女性は…黒髪のロング…二階堂祥子さんなのでは?)
そして、駿がドアを開けると、私の嫌な予感は当たっていたようだ。
「祥子さん…どうしてここに来たのですか?」
「あら?許嫁が訪ねてきたらいけないのかしら…それとも何か来てはいけない理由があるの?」
祥子さんは、私が居ることを知っているのに、わざと言っているように聞こえる。
そして、なかば強引に部屋に入って来た。
そして、リビングに居る私を見つけると、妖しく微笑んだ。
「駿くん、いつから、この方と同棲しているのかしら…」
私は慌てて、祥子さんに弁解した。
「あ…あの…同棲ではありません。私はルームシェアでお部屋を借りているだけなんです。」
私の話を聞いて、祥子さんはクスクスと笑い始めた。
口元は笑っているが、瞳は笑っていない。冷たい笑いだ。