振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「…ありがたいお話ですが、私は貴方のところへは行きません。」
すると、アジームは急に笑い出した。
「…ハハハッ、そんなに恐い顔をするなよ琴音。冗談だよ、…でもせっかくだから、今日はこれから少しだけ僕に付き合ってくれないかな」
アジームは私が返事をする前に、私の手を掴み会議室を出て歩き出した。
「あの…アジーム…どこへ行くのですか…私はまだ仕事中で…無理です。」
暫く無言で歩いていたアジームが振り返った。
「心配しなくても大丈夫だ、秘書のカシムがもう伝えているよ。君の部署の上司に許可は取っているはずだ。」
「…そんな、勝手に…私をどこに連れて行くの?」
アジームは無言で会社の入り口へと向かった。
すると、時間を合わせていたかのように、車が目の前で止まった。
「さぁ、車に乗るよ…琴音。」
「アジーム…どこに行くの?」
アジームは車のドアを開けると、私の手を取って車の後部座席へと乗せた。
そして、いつのまにか秘書のカシムさんも戻ってきている。
アジームとカシムさんが車に乗り込むと、車は静かに走り出した。
「琴音、少し時間が掛かるから、休憩が必要なら言ってくれ。」
アジームは微笑みながら、私の頬に手を添えた。
「触らないでください。」
私が強い口調で言うと、アジームはお道化て見せた。
「恐い…恐い…ハハハッ、怒られちゃったな。」