秘書室の悪魔とお見合いをしたら〜クールな秘書と偽装結婚することになり、いつの間にか愛でられていました〜

所作や言葉遣いはいつもどおり丁寧だけどきっとこれが、プライベートの彼なんだろう。

少し意地悪で。ちょっと不器用で。たまに底知れない黒いオーラを放っていて。

でも知りたい。近づきたい。こんな状況でも気持ちは止まらない……。

名前呼びに胸をときめかせながら返事をした私は、差し出された大きな手に、自らそっと触れた。

「――私で良ければ……、よろしくお願いいたします、ゼネラルマネージャー」

「……名前で。夫婦になるんだから……おかしいでしょう」

そう言われたと思ったら、手を引かれて突然視界が暗くなった。

ふわり、とこめかみに優しい温もりが触れて、ゆっくりと離れていく。

「付き合ってもらう以上……俺なりに最大限あなたをだいじにしますよ」

「――?!?!?!」

い、い、いま……!!!

驚きすぎて口がきけない。

おおおおでこに……っ!!

キ、キ、キキキ――!!
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