秘書室の悪魔とお見合いをしたら〜クールな秘書と偽装結婚することになり、いつの間にか愛でられていました〜
「すみません、港区の――――までお願いします……」
ほどなくしてタクシーが到着し、桜さんを連れて乗り込む。
運転手は腕の中のピクリとも動かない彼女を見て一瞬顔しかめたものの、意識のはっきりした俺を確認し、仕方ないと言わんばかりタクシーを自宅へと動かしてくれた。
まったく……。今日は酒に困らされることはないと安心していたというに――。
『どうにか口説き落として連れて帰るつもりでいるから――』
とんだ災難だったな。やっぱり俺は、どうにもツイてないらしい。